さて、今回は審配じゃな。
『先賢行状』によると、審配は字を正南と言い、魏郡の人じゃ。
若い頃から烈々たるまごころを持つ慷慨の士で、犯しがたい節操があったとされるんじゃ。彼はそれなりの知名度を持つ人物じゃが、何か面白い話があるのか、ちと見ていくとしようかのう。
さて、今回は審配じゃな。
彼は演義でもそこそこ出番があったような記憶がありますね。
うむ、審配に関しては演義と正史で、そんなに大きな差はなかったように思うぞい。
そんな審配のことを見ていくとしようかの。
人物紹介
韓馥から袁紹へ
元々審配は韓馥に仕えておったんじゃが、韓馥が袁紹に冀州牧を譲るとそのまま袁紹に仕えるようになったんじゃ。
袁紹が冀州を支配すると、策略を立てる仕事を任せて治中別駕に任じ、合わせて幕府を統括させた、とあるんじゃ。公孫瓚を滅ぼした時、袁紹は審配に軍の事務を統括させたんじゃ。軍政家として非常に袁紹から買われておった、と言うことじゃな。
しかし曹操との対決に際し、沮授や田豊は後方かく乱しながら相手の戦力を削る策を進言するんじゃが、審配と郭図は今の兵力差なら十分勝ち目がある、と積極的に攻勢かけるよう進言するんじゃ。この辺りはちと微妙な判断じゃな。
そして後に審配は官渡の時には後方で鄴を守っておるんじゃが、許攸の家族が法律に違反したため、その妻子を逮捕したんじゃ。これに腹を立てた許攸は曹操の下へ降り、これが袁紹敗北の要因となっておるんじゃ。
この前に孔融と荀彧が彼我の戦力差について会話をしておるんじゃ。そこで孔融は審配を「忠義の士」と評価しているんじゃが一方で荀彧は独断的で計画性がなく、もし許攸の家族が法律を犯しても、大目に見ることができないだろう、と評しているんじゃ。
この会話の真偽はともかく、図らずも荀彧の予想通りになった訳じゃな。
袁紹死後の審配
袁紹が亡くなった後、袁尚と袁譚の間で権力争いが起きるんじゃ。審配は袁尚に就くんじゃよ。そして『漢晋春秋』によると、審配は袁譚を諫めるための書簡を送るんじゃ。その辺りは袁譚のところにも書いておるぞい。
曹操は鄴を包囲し、審配を攻め立てたんじゃ。これは両者の攻防は見ごたえがあり、曹操が地下道を掘ろうとしたら審配も塹壕を掘って侵入を防ぐなど激しい攻防が続いたんじゃ。しかし曹操はやはり一枚上手と言うか、城攻めが上手いんじゃな。城の周囲に濠を掘って漳水を決壊させて、城にそそいだんじゃよ。
ここに袁尚が救援にやってきたが、曹操はこれを散々に打ち破るんじゃ。袁尚は逃げ出し、曹操は袁尚の印綬と節鉞を手に入れ、降兵を家族たちに見せると城中の戦意もさすがに落ちたんじゃ。
およそ3ヶ月以上の攻防の末、城中の半分以上の人間が餓死すると言う凄惨な状況でついに城は落ちるんじゃ。そうして審配は生け捕りにされた後、斬られたんじゃ。
ちなみにこの時、内応者がおって城門をあけられてしまうんじゃが、それをやったのは審栄と言い、審配の兄の子だったりするんじゃ。親族に裏切られるとは、何とも皮肉な話じゃのう。
曹操が審配を引見し、「先日わしが包囲した時、何故弩をたくさん射かけたのか?」と問うと「その(弩の)数が少なかったのが残念だ。」と言い放ったんじゃ。曹操はその剛毅な性格を気に入り、「お前は袁氏父子に忠義であった故、当然そうするしか仕方がなかったのであろう。」と生かしておきたい気持ちがあったんじゃが、家族を審配に殺された辛毗が号泣してやまないので、結局殺害することに決めたんじゃ。
最後は刑の執行にあたり、刀を持っているものを怒鳴りつけて北に向かせ言った。「我が君(袁尚)は北におわすのだ。」こうして烈士審配は最期を迎えたんじゃよ。
さて、審配の人物紹介はここまでじゃな。続いて能力評価と行くぞい。審配は全作品に参加しておるぞい。
能力評価
審配は幕府を統括する政治家としての側面があることから、政治能力が高めじゃ。また鄴で曹操との丁々発止の攻防を繰り広げたことから軍事面も軍事、統率共に優秀と言えるじゃろう。特に数か月にわたり城を守ったことから統率を一番高く評価しておるぞい。
その一方で、知謀は曹操との決戦を進言したり、最後は曹操の知略によって敗れ去っておる。また融通の利かない性格という点も能吏じゃが、状況に応じて臨機応変に対応できない、と言う判断から知謀は少し抑え目じゃな。
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雑談ぢゃ
さて、審配の能力評価じゃな。
かなり優秀ですね。演義でも確か曹操を防ぐために防衛を行っていましたよね。師匠は知謀が低めですが、他は政治の方が低いですね。
そうじゃな、ワシは融通の利かなさを知謀のマイナス評価としておるからのう。
その辺りは作品によって見方が少し違ってそうですね。
うむ、ワシも知謀が高いが政治が低い、逢紀のような人物もおるからのう。まあ逢紀と逆のタイプと言う感じにしたとこじゃな。
失敗した人物は大抵、どちらかが極端に低くなる、と言っていましたね。
そうじゃな。失敗の傾向からどちらを低くするかが違ってくるから、審配のようになることもあれば、逢紀のようになることもある、と言うことじゃな。
審配には知謀の士と言えるようなエピソードがないことも影響していますね。
うむ、もう少しでオール100越えとなるとこじゃったがのう、惜しい人物じゃ。
さて、とりあえずこれで審配の評価は終わりじゃな。とりあえず優秀な人物一人目じゃな。
次も見てくださいね、それではまたです。