さて、今回紹介するのは劉表じゃな。字は景升、生年が142年と言うことから、曹操達より一回り上の世代の人物じゃな。前漢の魯の恭王(景帝の子)の子孫と言われているんじゃよ。さて、皆さんにとって劉表とはどんなイメージの人物じゃろうかのう。
さて、今回は劉表の紹介じゃな。
劉備とも関わりが深いですし、後漢の群雄の中でも結構な大物ですよね。
そうじゃな、演義では優柔不断で少々お人好し、そして劉備に後を託そうと考えたりした好人物、と言った印象じゃな。
ふん、そんなお人好しが本当にあれだけの期間勢力を保っていられるものか。劉虞のようになるのがオチだぞ。
張郃さんも劉表の人物像はそんなものではないと認識しているのですね。
うむ、まあ実際そんな生易しい相手ではないのは確かじゃな。それでは早速見ていくとしよう。
人物紹介
若い頃の劉表
さて、劉表の出自じゃが『劉表伝』を見ると、山陽郡高平と書いてあるんじゃよ。身長は八尺以上もあり、大変立派な体格の持ち主であったんじゃ。若い頃から有名で八俊と呼ばれたんじゃよ。
高平と言うと明帝が亡くなった後に葬られた陵墓の名前と一致するな。また曹操殿が葬られたのも確か近いのではないか。
ちなみに後漢を代表する名士として、三君、八俊、八顧、八及、八廚と序列が作られており、後漢では劉表は八及に序されておるんじゃ。上の八俊と正史本文で書かれておる八俊との関係は不明じゃな。
『後漢書』によると、劉表は同郡の王暢から学問を学んでおったんじゃよ。
この王暢の孫にあたる人物が、後漢を代表する文学者・詩人の王粲じゃな。さて、後に王暢は南陽太守になったんじゃが、その行いは過度に倹約であったんじゃよ。
そこで劉表は諫めて言ったんじゃ。
「上の身分を犯さないぜいたくさ、下の身分に近づかない倹約さ、それが中庸の道だと思います。だからこそ蘧伯玉(きょはくぎょく)は自分だけが君子であることを恥じたのです。
殿が孔子様の明確な教訓を守らずに、伯夷・叔斉の根本を忘れた生き方を慕われるならば、あっさりと自分から世間を捨てたことになりはしますまいか。」
じゃが王暢の返答は簡潔じゃった。
「倹約のため、身を滅ぼした者は稀である。それにこれによって世の風俗を正すのだ。」
劉表の思想が良く分かるエピソードじゃな。彼が目指すのは中庸、高すぎず低すぎずバランスをとることを由しとするタイプの人物じゃな。
荊州刺史にしたのは・・・
劉表は何進の掾として北軍中候の官に任命されるんじゃが、霊帝の死後、王叡の後任として荊州刺史となった、と『劉表伝』ではさらっと書いてあるんじゃが、実はここに問題が出てくるんじゃよ。
一体誰が劉表を荊州刺史にしたのか、そして劉表は誰の味方であったのか?
劉表を荊州刺史にしたのは、反董卓連合軍に参加した孫堅によって王叡が殺害されている以上、実質董卓によって任命されたのであろう。
そして『劉表伝』ではしれッと董卓討伐軍に参加したかのように書かれているが、董卓軍と一切干戈を交えていないこと、逆に袁術や孫堅と争っていたこと、っして後に李傕や郭汜達が劉表と手を結び味方に付けようとしておったことから、どう考えても董卓派だったのではないか、と思われるんじゃよ。
まあ、史書で劉表が実は董卓派だった、と書いてしまうと色々と不都合はあるだろうからな。まあ良くて中立を保っていた、と言うところだろう。中庸好きの劉表らしい考えではないか。
そうじゃな、とは言え劉表もおとなしいだけの人物ではない、のは張郃殿も知っているであろう。
荊州の支配について
さて、荊州刺史に任命された劉表じゃが、董卓を攻めなかったのにはもう一つ理由があるんじゃ。
『戦略』によると、劉表が荊州刺史になったばかりの頃、江南では宗賊の勢いが盛んであり、また袁術が魯陽に駐屯し、南陽の軍勢を全て手中に収めておったんじゃ。
また、呉の人である蘇代が長沙太守の官にあり、貝羽が華容県への長となっておったが、各々の軍勢を頼みに命令に服さなかったんじゃ。
劉表は単身宜城へ乗り込んで、蒯越・蒯良・蔡瑁を招いて相談したんじゃよ。
「宗賊の勢いが非常に盛んな上、民衆は付き従わず、袁術はこの混乱を利用している。災難が今にも降りかかってくるであろう。わしは軍勢を招集したいと思うが、集まらないかと心配だ。どうしたら良いだろうか。」
これに対して蒯越が
「袁術には決断力がなく、蘇代や貝羽は軍人だから問題ない。宗賊の指導者たちは貪欲で乱暴なものが多いから、殿は彼らを集め、道に外れた者を処刑してその他の者を労り使用なさいませ。」
と言うんじゃ。結構怖い話じゃが、劉表はこの策に従うんじゃよ。
かくて蒯越に命じて宗賊に誘いをかけさせたところ、55人がやってきたので、彼らを皆斬り殺し、その配下の軍勢を襲撃して取り押さえ、吸収していったんじゃよ。
なかなかえげつないことをやる、とは言え賊相手だから致し方ないか。
そうじゃな、さて、まずは劉表の紹介、第一幕じゃがここまでじゃな。良ければ次もご覧くだされ。
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