さて、今回は高幹の族子(従弟)である高柔の紹介じゃな。魏が滅びる直前の263年に亡くなった時は90歳であったと言う、長命な人物だったんじゃよ。
さて、今回は高柔の紹介じゃな。高幹の族子にして魏の名臣として、魏の栄枯盛衰を経験した人物じゃな。
どうも、張郃だ。最後は司馬一族に協力的だが、まあ仕方ないだろうな。
174年生まれと言うことは魏の曹丕や曹叡よりも年上だったのですね。
そうだな、文帝か明帝のどちらかが長命であれば、司馬一族の台頭は防ぐことができたであろうがな。それとは別に高柔は非常に優れた法律家であるな。
確かに彼にはいろいろとエピソードがあるから、二回ぐらいに分けてみていくとしようかのう。まずは能力評価からじゃな。
能力評価
さて、それでは各項目ごとに評価理由を見ていくとしようかのう。
軍事
軍事面に関して、高柔は文治肌の人物であり、実際に軍事面での実績は見られないんじゃよ。
軍事面は特に語ることもないであろう。評価としては抑えめになるのは納得のいくところだな。
統率
魏志『高柔伝』を見ると、曹操が袁氏を平定した際、高柔を菅の長に任じたんじゃよ。すると彼の評判を知っていた姦吏数人が自ら退散してしまったんじゃ。
しかしこれに対して高柔は次のように命令したんじゃよ。
「昔前漢の時代、邴吉は丞相として政治を担当した時、役人に非行があった場合でも、なおそれを容赦したと言う。
ましてこれらの役人たちは私に対して間違いを犯したわけではない。さあ、彼らを召し返せ。」
これにより皆帰還してめいめいが励み務め、全員立派な役人となったんじゃな。
法を振りかざすだけでなく、許すべき部分は許し、配下の人間達のやる気をうまく引き出したことで、統率(魅力)を評価したのですね。
知謀
彼は様々な献策を行うなど知略に優れたと伺える話があるんじゃが、特に凄いと思うのは次の話じゃな。
魏志『高柔伝』を見ると、ある時護軍将軍の兵卒の竇礼が外出したまま帰らなくなったんじゃ。軍営では逃亡したと判断し、妻の盈および家族を男女ともに身分をはく奪して、奴隷とするように上奏具申したんじゃよ。
これに対し、妻の盈は出頭して冤罪を訴えるんじゃ。この時のやり取りは次のようなものなんじゃよ。
高柔「お前はどうして夫が逃亡したのではないとわかるのだね。」
盈「夫は若いころから身寄りのない人で、一人の老婆を母として養っておりまして、たいそう恭しくまめにお仕えしておりました。
また、子供をかわいがりまして、そばを離さずいたわっておりました。軽はずみに悪賢い考えを起こして家族を見捨てるような人じゃありません。」
高柔「お前の夫は人の恨みを買うようなことはないかね。」
盈「夫は善良な人ですから、人の恨みなどございません。」
高柔「お前の夫は人に金銭を貸したことはないかね。」
盈「以前同じ軍営の士卒である焦子文に金を出してやりましたが、要求しても返してくれません。」
この時焦子文は別の件で捕まっていたんじゃが、その取り調べの最中に高柔はさり気に金銭のやり取りについて質問したところ、彼の顔色が変わったことから、彼が竇礼を殺したと見抜き、彼に全てを自白させることに成功したんじゃよ。
焦子文の自白通り、竇礼の遺体は発見され、盈達家族は平民に戻ることができたんじゃな。
こちらの国で言うなら見事な大岡裁きと言ったところか。見事な洞察力・判断力と言えるだろうな。
政治
政治面に関してじゃが、高幹が背いた時に曹操は高柔も事にかこつけて彼を処刑しようかと考えたんじゃ。
じゃが裴松之注『魏氏春秋』によると、当時刺奸令史であった高柔は、法の適用が公平・妥当であった上、朝も夜も怠けることなく、膝を抱えて文書を抱いて寝るほどであったと言うんじゃ。
曹操がある時、夜お忍びで出かけて官吏達を視察したが、高柔を見るといとおしく思い、そっと裘(かわごろも)を脱ぎ、高柔にかけてやって去ったんじゃ。
そして彼を改めて召し出し丞相倉曹属に取り立てたんじゃよ。
高幹が反乱しているのですから、同族の高柔は処刑されてもおかしくないのに、それを覆して曹操に認められるほどの人物だった、と言うことですね。
↓ バナーをクリックしてくれるとうれしいぞい
簡単解説
思ったよりも評価は高くないですね。
まあ、あの逸話を聞くと、お主の師の政治評価も少し低いかもしれない、と思えるが、これは知名度の差も関係しているのであろうな。
逸話ですか、気になりますが今回で語られた以外にもいろいろと話がある、と言うことですか。
そうだな、恐らく次でその辺りが語られると思う。まあここの評価は100を超えたら相当優秀と言うことだから、十分高いのであろう。
そうじゃな。皆能力を最高値にはできんのと、自分なりの序列と言うものがあることから、その範疇での評価、と言うことで許してくだされ。さて高柔についても補足の情報を次に追加するとしようかのう。それでは一旦ここで終わるとしようかのう。
それでは俺も帰るとするか。次もまたよろしく頼む。
張郃さん、お疲れさまでした。次もまたよろしくお願いしますね。