さて、楊彪の紹介二回目じゃな。ここからは董卓との軋轢があった後からの紹介じゃな。誰が相手でも楊彪は臆する風を見せない。彼の後半生を見るとしようかの。
さて、楊彪の紹介2回目じゃな。
どうも、張郃だ。ここからは自分達も比較的見知っている楊彪殿の姿になる訳だな。
董卓はあそこまで言われたら有無を言わさず処刑しちゃいそうで、ちょっとはらはらしたんですけど、そう思いませんでした?
意外と董卓は名士と言う連中はあまり処刑しておらんのじゃよ。関東諸侯を直接推挙した人物や、反乱を起こした人物の親族(袁一族等)に対しては容赦しておらんがのう。
それは・・・董卓も名士を取り込むために腐心していた、と言うことですか。
そうじゃな。意外と計算高い男なのは確かじゃよ、董卓は。自身の配下は校尉程度と、あまり高い官職につけておらんかったしのう。楊彪もそうした中で尊重され、命を長らえることができたと言えよう。
人物紹介
董卓死後の混乱期
さて、そんな董卓も王允と呂布に殺害され、その二人も李傕と郭汜等に敗れ、と目まぐるしく情勢が変わっていく中、楊彪は変わらず献帝の側に仕えておったんじゃ。
そして李傕と郭汜まで争いだした時のこと、ある出来事が起きるんじゃ。
『献帝起居注』によると、最初は郭汜が天子を自分の陣営に迎えようと計画したんじゃが、夜間郭汜の下から逃亡して、李傕にこの件を密告した者があったんじゃ。
李傕は機先を制するために李傕の兄の子の李暹を派遣し、数千の兵を統率して宮殿を包囲し、三台の車で天子を迎え入れようとしたんじゃ。この時に楊彪がかみついた。
「古来、帝王が人臣の家にお住まいになった例はありません。事を起こす場合には天下の人心に合致しなくてはなりません。諸君のやり方はよろしくない。」
しかし李暹は短く「将軍の計画は決定済みだ。」
と言い、こうして一台の車には天子が、一台の車には貴人伏氏が、残りの一台には賈詡と左霊が乗り、他の人は皆徒歩でお供した、とあるんじゃ。
権力者たちに反論する人物がほとんど楊彪殿になっているな。
三公でもあるし、献帝側の代表者と言う扱いなのは確かじゃろうな。それにしても色々と苦労を背負い込むお人じゃよ。
郭汜の捕虜として
また李傕が一度公卿を郭汜の下へやって講和を求めた時のこと、郭汜は彼らを全員拘留してしまうんじゃ。そしてこの時にも楊彪のエピソードがあるんじゃよ。
華嶠の『漢書』によると、郭汜は拘留した公卿をもてなし、李傕を攻撃するつもりで意見を求めたんじゃよ。
楊彪が「臣下たちが互いに闘い合い、一人は天子を脅迫し、一人は公卿を人質にする。こんなことをやって良いのですか?」と言って非難すると、郭汜は立腹し、手ずから彼を斬ろうとしたんじゃ。
中郎将の楊密や左右のものの多くが諫めたので、郭汜はやっと彼を放したそうじゃな。
ここでも楊彪は公卿百官の代表として、誰もが思っていることを代弁しているのだな。言い難いことを言わないといけないのはきつい話であろう。
長安からの脱出
さて、李傕と郭汜のごたごたから、献帝がうまく脱出した時のことじゃ。当然楊彪も献帝に従っている。とは言え献帝を取り戻そうと李傕達も追ってくるなど、安心できない状態であったことも確かじゃ。
『献帝紀』によると、最初黄河に船を浮かべて天子を東下させようとの意見を述べる者があったんじゃが、太尉の楊彪はそれに以下のように反対するんじゃ。
「私は弘農の出身です。ここから東には36の早瀬があり、とても万乗の天子が通られるべき場所ではありません。」
また劉艾と言う人物も楊彪の意見に賛成し、次のように言うんじゃよ。
「私は以前陝令をしておりまして、その危険を承知しています。案内がいても転覆することがありますのに、まして今は案内がいない。太尉の判断は正しいです。」
知らない土地と言うのは、本当に何が起こるかわからない恐ろしさがある。土地に限らず、何においても知ると言うことは大事なことだ。
曹操との軋轢
さて、その後献帝は曹操が奉じることになるんじゃが、どうも曹操と楊彪の関係はあまりうまくいっておらんかったんじゃ。
『続漢書』によると、楊彪は袁術と縁組を結んでいたため、袁術が天子の称号を僭称すると姻戚関係から何らかの関わりがあると判断して、楊彪を捕縛するんじゃ。
孔融はかつての恩人でもある楊賜の息子である楊彪のため必死に曹操に諌言するんじゃよ。
また、当時楊彪の取り調べを行ったのは満寵であったが、満寵も数日法律通りの尋問を行った後、曹操に面会を求め「楊彪を尋問しましたが、今までと変わった弁明はありませんでした。死刑に処すべきものは、執行前にその罪を明らかにするのが当然です。この方は四海の内に名声がありますから、もし罪が明確でないならば、必ずや人望を大いに失うことになりましょう。心中明公のために残念に存じます。」と進言するんじゃよ。これにより、楊彪は釈放されるんじゃ。
曹操殿も警戒し過ぎのように感じるが、実際董承による暗殺未遂事件もあったからな。
逆にこれぐらいの警戒心がないと、生き残れない、と言うことかもしれんのう。
さて、もう後一息と言うところじゃが、微妙にボリュームがあるので、今回はここまでとしようかのう。次で楊彪の晩年、そして能力評価と行こうかのう。それではまたじゃ。
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