さて、今回は士燮の紹介3回目じゃな。今回は孫権に仕えて後の士燮、それと能力評価まで見ていくとしようかのう。
さて、いよいよ士燮の紹介、多分今回が最後じゃな。
どうも、張郃だ。それにしても最初は曹丞相に従っていた風であったのに、気が付けば孫権に従っている。抜け目のないお方だ。
とは言え、赤壁で曹操が撃退された、とあってはそのままですと孤立することになりかねませんからね。
この辺りの判断の良さが、士燮を生き残らせる原動力となったのじゃろうな。それでは残りの士燮の人生について見ていくとしようかのう。
人物紹介
益州との橋渡し
孫権に従ってからの士燮は孫権に重んじられ、後に左将軍に任ぜられることとなるんじゃ。
士燮の方も孫権に忠実な臣下であるという態度を見せるかのように、建安末年に息子の士廞を孫権の下へ人質として差し出すんじゃ。
すると孫権は士燮を武昌太守に任じ、士燮と士壱との息子で南方に留まっている者たちも全て中郎将に任じた、とあるんじゃ。
ここで士燮は更に孫堅のために働き、益州の豪族である雍闓に働きかけ、郡民たちをまとめて遠く東の呉に味方させることに成功するんじゃ。
雍闓と言うと後に益州南部で反乱を起こし、諸葛亮自ら南征に赴く原因を作った人物だな。なるほど、この頃から呉と通じておった訳だな。
このように士燮は益州方面にも手を伸ばし、劉備達の後背を密かに脅かしておった、と言う訳じゃな。
孫権はますます士燮のことを嘉し、衛将軍に昇進させて龍編侯に封じたんじゃよ。
孫権への貢納品
士燮が使者を孫権の下に遣わしてくる時にはいつも献上される種々の香や細かい葛布が数千と言う数に上り、明珠(真珠のこと)や大貝、瑠璃、翡翠、瑇瑁(たいまい)、犀の角や象牙などの珍宝、見たことのないような物や珍奇な果物、芭蕉(バナナ)や椰子や龍眼と言った類が呉にもたらされぬ年はなかった、とあるほどなんじゃ。
気遣いの達人とも言うべき話だな。なるほど、軍事に頼らずとも一国を保つことのできる器量の持ち主、と言うことだな。それにしても貢納品は異国情緒満載な物ばかりだな。
孫権はこうした貢納品を受け取るごとに、手紙を送り、厚い賜り物を下して士燮たちの気持ちに答えた、と言う。
こうして良好な関係を築いた状態で、士燮は郡にあること40余年、226年に90歳で死去したんじゃよ。
90歳とは大往生と言っても良いであろうな。乱世の時代に郡に安寧をもたらした立派な人物だ。
さて、貢納品からも異国との関わりを深く匂わせる士燮であったが、一つ興味深い話があるんじゃよ。
彼の父である士賜は桓帝の時代(146~168)に日南太守となった、とあるんじゃが、彼が太守であったかもしれん166年に、ローマからの使者が日南郡に訪れておるんじゃよ。
当時の士燮は京師にいたかもしれんが、父からこのローマ人使者のこととかを聞いていたかもしれん。異国の人物との交流話が、後にベトナム人との融和政策となって生きているのかもしれんのう。
他の地域でももちろん異民族はいたが、彼らは皆漢民族のやり方に従わせる、あるいは彼らに自治を任せ、積極的には介入しない態度を貫く、と言うことがほとんどだったんじゃよ。
じゃが士燮は積極的に現地の人間と交流し、彼等に漢民族の文化を押し付けるのではなく、彼らの文化も尊重し、うまく融和するよう尽力しておったようなんじゃな。
もしかすると士燮はこの時代中華において数少ない、と言うかほぼ唯一の国際人と言えたかもしれんのう。
さて、そんなところで士燮の紹介は終わりじゃな。続けて能力評価と行こうかの。彼は鄭問さん以外の作品に登場じゃな。
能力評価
士燮はその優れた統治能力でベトナム現地民ともうまく折り合いをつけ、慕われておったことから政治力を特に高くしたんじゃ。また孫権に対する外交術や雍闓を取りこんだ旬の高さから外交能力も高いと考え、知謀も付随する形で高い評価としたんじゃよ。
また基本は軍事行動は行わないにしても、軍事力が皆無であれば、孫権ももう少し力技をやったかもしれん、と考えると軍事面も決して侮れなかった、とも思うんじゃよ。
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雑談ぢゃ
さて、士燮の能力評価じゃな。
お主ほど軍事能力の評価は高くないが、いずれも政治面は高評価になっているのだな。
師匠はべた褒めって感じですね。それにしても師匠は彼を国際人と言いましたが、具体的に何が違のでしょうか。
やはり異民族だからと言って、力で押さえつけ従わせるのでない部分じゃろうな。事実彼の統治下では反乱話はほとんど聞かんが、彼が亡くなって後、孫権配下の武将達が交州を支配するようになると、現地民との軋轢が生じて反乱が起きてしまうんじゃよ。
漢や魏も同じ轍を踏んでいる。耳の痛い話だな。
それだけに士燮の統治政策の特異性が目立つ、という話になる訳じゃな。さて、士燮の紹介はここまでじゃが、如何じゃったろうか。君主が一通りそろったところで、君主ランキングをやってみようかのう。良ければ次もよろしく頼むぞい。
よし、今日はここまでだな、俺も帰るか。
張郃さん、お疲れさまでした。次もよろしくお願いします。他の人物に興味ある方は、下の索引からご覧くださいね。