さて、今回もまた曹冏の上奏文の続きじゃな。やはり前回では終わたんかったのう。今回で何とか終わらしたいもんじゃな。
案内人
くまの爺・・・三国志好きのタダの爺さん、もちろん某く〇モンとは何も関係ない(それ以上はいけない)。三国志好きが高じて史書に載っているほぼ全ての武将のDB化をしてやろうと大それたことをもくろむ。終わりの目途は・・・全く立っていない。
弟子・・・師匠の無茶な道楽に付き合わされる可哀そうな弟子。最近は張郃とのやり取りが多いせいか、無駄なツッコみは減っている模様。実は弟子と書いて「ていこ」と言う名前だったりする(師匠は最近思い出したようだ)。
張郃・・・くまの爺が一番好きな武将とお話ししたい、と謎の技術で召喚された可哀そうな人物。もっとも本人は現代生活を結構楽しんでいるよう。無理やり召喚されたためか、くまの爺の持ってる範囲の記憶しか残っておらず、ちょっと残念。
四方山話
さて、今回も曹冏の上奏文の続きじゃな。
どうも、張郃だ。昨日は秦の時代まで話が中心であったことから、今回は漢の話が中心だな?
いよいよ、三国志に近い時代の話になってきましたね。
とは言え、前漢後漢、そして魏へと300年以上の歴史があるからのう。なるべく簡潔にまとめたいものじゃ。
人物紹介
上奏文(つづきのつづき)
魏志『武文世王公伝』の裴松之注『魏氏春秋』に載っている上奏文の続き、今回は秦の後の話じゃな。
・漢は秦の失敗を戒めとして、子弟を諸侯に取り立てた。
・呂氏一族が権力を握り劉氏を危険に陥れようとたくらんだ時に、天下が傾き騒がず、民衆が心を変えなかった理由はもっぱら諸侯が強大であり、盤石で強固であったため。
・もし高祖(劉邦)が秦のやり方を受け継いでいた場合、天下は既に移っていて、劉氏のものではなかった。
・しかし、その一方高祖の封建制度は領地が古代の制度を越えて、大きなものは州にまたがり郡を合わせ、小さなものは数十の城を連ねており、権力は王室と同等であった。
・そのために呉・楚七ヶ国の乱がおこってしまった。
・その後、武帝の時代に推恩の令(多くの子弟に領土を分割して良い法)を下しました。
・これにより、斉は分かれて七つに分割され、趙は分かれて六つとなり、淮南は三つに、梁と代は五つに分割されました。
・かくて次第に衰え、子孫は微弱になり、後継ぎがない国は没収されました。
・親族の力が弱まることで王氏が権力を握ることとなったのです。
前漢王朝と言うのは歴史のお手本のような時代を送っていた、と言うのがよく分かるな。
王朝の繫栄と衰退がこうも分かり易く語ることができるのも凄いですね。
そうだな、王族は強すぎても弱すぎても意味がない、薬も量を誤れば劇薬となるのと同じ、と言うことだな。
・光武帝は王莽を捕え、既に断絶していた漢の王統を継いだが、秦の失策を戒めとし、周の古い制度に倣って、王国の規範を継ごうとはしなかった。
・その結果、桓帝・霊帝の時代になると宦官が権力を握り、朝廷には危難に命を投げだす臣はなく、外部には憂慮を共にする国もなく、君主は上にあって孤立する事態となった。
曹冏にしてみると後漢は前漢の統治法を受け継がなかったために、外積や宦官が蔓延り、皇帝が孤立する国家になってしまった、と考えているのだな。
・魏の太祖武皇帝(曹操)は聡明な資質、神のごとき武略を具え、漢の廃絶を恥と考え、帝を西の都から迎え、許に都を定め、徳は天と地を動かし、義は人と神を感動させた。
・漢氏が天命をかしこみ、大魏に帝位を譲って二十四年になるが、五王朝(夏・殷・周・秦・漢)の存亡を観察しながら、その優れた方策を採用せず、前を行く車がひっくり返ったのを目にしながら、わだちの後を改めていない。
・子弟は空虚な名義だけの土地の王とされ、役にも立たぬ人民の君主となり、皇族は村里に隠れ住み、国家の政治に関与せず、権力は平民に等しい状態だ。
・内部には根(朝廷)を深め、不動にする強固な親族はなく、外部には盤石のごとき一族の契りによる援助はない。
・その上、いまの州牧・郡守は皆千里四方の地を占有し、軍事に関する任務を兼ねており、ある者は同族数人が国を連ね、ある者は兄弟並んで割拠している。
・ところが皇族の子弟には一人もその間に挟まり、彼らと並んで立つものはなく、これは幹を強くし枝を弱め、万一の時に備えるやり方ではない。
魏も秦や後漢と同じ轍を踏もうとしている、という警告であった訳ですね。
そうだな、後漢は長く続いたが、その治世の大半は外戚か宦官に権力を占められ、皇帝自身の強権が発揮された期間はかなり短かった。大漢の後を継いだ、と言う名目がなければもっと早くに滅んでいたかもしれないな。
皇族に対する扱いと言うのはなかなか興味深い話じゃな。多分半分以上は省いてしまったが、これが曹冏の上奏文のまとめじゃ。長かったが如何じゃろうか。次からはまた新たな人物評に移るぞい。
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