さて、今回は任嘏と言う人物の紹介じゃな。はて、任姓の群雄なぞいたかな?と思った方もいたかもしれんのう。彼は青州において黄巾賊も侵入をためらう程、高い徳を示した任旐の息子なんじゃよ。
案内人
くまの爺・・・三国志好きのタダの爺さん、もちろん某く〇モンとは何も関係ない(それ以上はいけない)。三国志好きが高じて史書に載っているほぼ全ての武将のDB化をしてやろうと大それたことをもくろむ。終わりの目途は・・・全く立っていない。
弟子・・・師匠の無茶な道楽に付き合わされる可哀そうな弟子。最近は張郃とのやり取りが多いせいか、無駄なツッコみは減っている模様。実は弟子と書いて「ていこ」と言う名前だったりする(師匠は最近思い出したようだ)。
張郃・・・くまの爺が一番好きな武将とお話ししたい、と謎の技術で召喚された可哀そうな人物。もっとも本人は現代生活を結構楽しんでいるよう。無理やり召喚されたためか、くまの爺の持ってる範囲の記憶しか残っておらず、ちょっと残念。
四方山話
さて、今回は任嘏の紹介じゃな。彼は上でも書いた通り、任旐の息子なんじゃよ、と言っても覚えていない人も多いのではなかろうか。かく言うワシも実はちょっと、任旐の記録を見直したんじゃよ。
どうも張郃だ。任旐殿はその徳の高さが有名だが、息子の任嘏殿は幼いころから賢いと言うことで有名だった人物だ。
父も全然知らないのですが、魏にはこういう隠れた才人が多いですね。
記録が残っている彼はまだ恵まれているが、それに値するだけの才を持ち合わせていたのも確かだ。
それでは早速、彼の評価・事績について見ていくとしようかのう。
能力評価
さて、それでは各項目について見ていくとしようかのう。
軍事・統率
さて任嘏じゃが、彼には結構多めのエピソードが見られることから、軍事・統率面と知謀・政治面で分けてみてみるとしようかのう。
荒廃と動乱の世に遭遇し、家は貧しくて魚を売って暮らしを立てた。たまたまお上は魚に税をかけ、魚の値段は跳ね上がったが、任嘏は平常通りの値で売った。
また人と共同で家畜を買い、各人八匹ずつ飼った。のちに家畜を売った者が買い戻しに来た。その時の価格では六十四匹分(買取時の一匹が買戻し時は八匹分)に相当した。
共同購入者は時価によって買い戻し料を取ろうとしたが、任嘏はそれに関係なく、元の価格八匹分を取って済ませた。共同購入者は気恥ずかしくなり、やはり返金して元の価格だけを取った。
近所に住んでいる者が無断で任嘏の田地数十畝を耕して種をまいた。人がそのことを任嘏に知らせると、任嘏は
「私自身が彼に貸してやったのです。」
と言った。耕作者はそれを聞いて気恥ずかしくなり、謝罪して田地を返した。
それに村の内で争いごとがあると、皆任嘏の元を訪れて意見を聞き、そうして初めて安心した。
彼らの子弟達の内従順でない者がいると、父兄は彼らを責めて
「お前の行為は、いったい任君に知られても良いのかね?」
と言った。その礼教の教化はだいたいこのようであった。
~中略~
丁度太祖は創業の時に当たっており、四海から至徳の人を招いた。任嘏hその推挙に該当し、曹植の庶子・相国東曹属・尚書郎となった。
~中略~
累進して東郡・趙郡・河東の太守となったが、各任地で教化は行き渡り、去った後も教えの余沢が残された。(『王昶伝』裴注『別伝』)
非情に徳の高い人物だったのですね。これだけの人物が本伝ではなくて、裴松之の注釈のみと言うのは惜しいですね。
魏は彼のように優れた事績が本伝から削られている人物が他にもいる。陳寿も三国の格差を縮めようと腐心したのかもしれないが、それで記録から漏れる人が出るのはもったいないことだ。
知謀・政治
任嘏は幼児から善良そのものの人柄を称えられた。年十四で初めて学業に就いたが、同じ疑問を二度と尋ねることはなく、三年の間に五経をそらんじ、全てその義理を極め、諸説を包括し、通覧しないものはなかった。
当時の学者によって神童と称された。
~中略~
文帝の時代、黄門侍郎となった。忠言を献ずる時はいつも自筆で書き、(下問に備えるため)原本を懐中にし、自身禁中に留まって文書を届けるまで封をしなかった。帝はその善良さと慎重さを嘉した。
~中略~
著書は三十八篇、計四万余字あった。(『鮑勛伝』裴注『魏書』)
神童と呼ばれた、と言うのはかなりすごいですね。
例えば関羽が『春秋左史伝』をそらんじた、と言う逸話があるが、『春秋』は五経の一つに過ぎない。任嘏殿は若くして五経全てをそらんじるだけでなく、その深奥を極めている。並のことではないのだよ。
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簡単解説
これだけの人物がどの作品にも出ていない、と言うのは残念な話ですね。
父の任旐と言い、非常に興味深い人物なのだが、残念な話だな。
こればかりは演義の影響とかもあるじゃろうからのう。任旐と任嘏親子で、もし天下を目指すことができたら、それはそれで面白いことになりそうじゃがな。と言ったところで今回はここまでじゃな。良ければ次もまたよろしく頼むぞい。
よし、それでは俺も帰るとするか。
張郃さん、今日はお疲れさまでした。次もまたよろしくお願いしますね。