さて、今回は曹操の長子、曹昂の紹介じゃな。張繍との戦いで戦死しなければ曹丕と後継者争いを演じていたかもしれぬ、惜しい人物じゃな。
案内人
くまの爺・・・三国志好きのタダの爺さん、もちろん某く〇モンとは何も関係ない(それ以上はいけない)。三国志好きが高じて史書に載っているほぼ全ての武将のDB化をしてやろうと大それたことをもくろむ。終わりの目途は・・・全く立っていない。
弟子・・・師匠の無茶な道楽に付き合わされる可哀そうな弟子。最近は張郃とのやり取りが多いせいか、無駄なツッコみは減っている模様。実は弟子と書いて「ていこ」と言う名前だったりする(師匠は最近思い出したようだ)。
張郃・・・くまの爺が一番好きな武将とお話ししたい、と謎の技術で召喚された可哀そうな人物。もっとも本人は現代生活を結構楽しんでいるよう。無理やり召喚されたためか、くまの爺の持ってる範囲の記憶しか残っておらず、ちょっと残念。
四方山話
さて、今回は曹昂の紹介じゃな。曹操の長子でもしかしたら魏の皇帝になっていたかもしれない人物じゃ。
曹昂は結構名前が知れていますよね。私も知っている方です。
演義に出ているからな。出番は少ないものの、曹丞相の命を救うと言う存在感を示していることから、比較的評価も高い人物だな。
そうじゃな、その辺りを考慮してみていくとしようかのう。
能力評価
さて、それでは各項目について見ていくとしようかのう。
軍事・統率・知謀・政治
曹昂の記録じゃが、まずは魏志『豊愍王昂伝』を見ると、次のように記述されているんじゃよ。
豊の愍王昂は字を子脩と言う。二十歳で孝廉に推挙された。太祖(曹操)につき従って、南方征伐に赴き、張繡に殺された。
これだけですと評価が難しいですね。他に記述はあるはずですよね。
そうじゃな、そこで魏志『武帝紀』及び裴松之注の『世語』には次のように書かれているんじゃよ。
建安二年(197年)春正月、公は宛に赴いた。張繍は降伏したが、後になってそれを悔やみ、再び反逆した。公は彼と戦ったが負け戦となり、流れ矢に当たって怪我をし、長男の曹昂と弟の子の曹安民は命を落とした。(『武帝紀』)
曹昂は馬に乗ることができなくなり、公に馬を提供した。公はおかげで逃れたが、曹昂は命を落とした。(『世語』)
自らも戦陣にて戦い、丞相を逃がすため馬を提供した。また、二十歳で孝廉に推挙され、彼が長子であることに特に異論も出ていないことから、なかなかの器量ではあったのだろう。
そうじゃな、文帝(曹丕)は魏志『鄧哀王沖伝』の裴松之注『魏略』にて
「長兄の孝廉(曹昂)はおのずから限界があったが、もし倉舒(曹沖)が生きていたならば、わしはやはり天下を支配できなかったであろう。」
と言っておるんじゃが、曹操の思いはまた少し違ったようで、実は曹昂の死により、彼の養母であった丁夫人と曹操の関係は壊れてしまうんじゃな。
結局離縁した曹操じゃが、このことは彼の心にずっと尾を引いておったようで、魏志『武宣卞皇后紀』の裴松之注『魏略』によると
後年、太祖が病に苦しんだ時、自ら再起できないことを案じて、嘆息して
「わしはずっと思ったとおりにしてきて、心に背いたことは一度もなかった。ただ、もし死人に霊魂があって、子脩が『私のお母さんはどこにおりますか』と聞いたなら、わしは一体何と答えたら良いものだろうか」
と言った。
とあるんじゃよ。丁夫人のこともあるんじゃろうが、それぐらい曹操にとっては特別な一人と言うことだったんじゃろうな。
同じ墓に入っていない以上、親子三人が会うことは叶わない、と言うことですね?
そうだな、祭祀を継ぐ、と言うのはそう言うことで、離縁した丁夫人はそこから外れてしまったことになるからな。
ちょっと悲しい話ですね。それにしても曹操はロマンチストですね。ちょっとグッときてしまいました。
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簡単解説
どの作品でも統率(魅力)が高めの傾向を示していますね。他の能力もまずまずと言ったところでしょうか。
天舞三国志が少し物足りない感じがするが、これは登場人物が少なく、知名度の高い人物が多いが能力差は付ける必要があるために起こっていることだろうな。
実際孝廉に推挙されていることや、なんとなく感じる期待値からすると、ちょっと低いかも、と言う気はしますね。
まあ師匠の評価が少し高すぎる気もしなくはないが、な?
いや、結構曹操の最後の台詞にワシもちょっと惹かれてしまったクチなんじゃよ。期待値の高さと、どちらも戦場で戦死してしまった点で言うと、劉禅の長子、劉璿と同じじゃな。
曹昂などは二十歳ちょっとでなくなっている訳じゃから、上の四十五歳の評価と言うのは、もし彼らが戦死せずに、後を告げる立場となれたとしたら、と言う願望が乗った数値なんじゃよ。と言ったところで今回はここまでじゃな。良ければ次もまたよろしく頼むぞい。
よし、それでは俺も帰るとするか。
師匠も何だかんだで情に脆いタイプなんですねえ。ともあれ張郃さん、今日はお疲れさまでした。次もまたよろしくお願いしますね。